言葉にしたら、ものすごく恥ずかしかった。でも、本当にそうだし、坂木くんだけはアラタと同じで私を否定しないでいてくれているから……だから、私はこの高校に通えているんだ。
「ハハ、買いかぶりすぎだよ」
 坂木くんが鼻をこすってそう言うと、足音と人の気配がした。
「ちょっといいか?」
 見ると、大田くんがカウンターの前に立っていて、仁王立ちしている。そして、そのうしろに神谷さん。私は、慌てて潤んだ目を伏せた。反対方向を見て、目尻をぬぐう。
「各委員長たちへの依頼文書も考えたし、新聞レイアウトもできた」
 わざわざ報告をしてくれる大田くん。坂木くんが「おお」と言って、短く拍手をする。
「お疲れ様 。じゃあ、今日で図書室最後か」
「そうだが、おかしくないかちょっと確認してほしい」
「俺に ?」
「いや、紺野に」
 大田くんから指名を受け、私は背けていた体をゆっくり正面へ戻す。すると、神谷さんがカウンター前まで来て、手書きの用紙を私に差し出してきた。
「文章、おかしくないか見てもらってもいい?」
 神谷さんが作成したのだろう、委員長たちに手渡す依頼文書の下書きだ。
「……うん。私でいいなら」