「琥珀しゃま、お呼びでございますか!」
突然のことに吉乃は驚き、後ろにひっくり返りそうになった。
「こ、この子たちも、人ならざる者ですか?」
「はい。このふたりは、絹と木綿といいます。紅天楼で色々な雑務をこなしてくれる、双子の子猫の妖たちです」
琥珀に紹介されたふたりは大きな目をキラキラと輝かせながら、改めて吉乃に向き直った。
「はじめまして! ワチキが絹で」
「オイラが木綿です!」
「「どうぞよろしくお願いします!」」
見事に息もピッタリだ。
葡萄色と翡翠色で色違いの矢絣柄の着物に身を包んだふたりは、見た目は五歳くらいに見えた。
「あ、あの。私は吉乃と申します。今日からここでお世話になります。どうぞよろしくお願いします」
慌てて姿勢を正した吉乃も三つ指をつき、ふたりにペコリと頭を下げた。
ニコニコと笑っている絹と木綿は、どこからどう見ても可愛くて愛らしい子供だが、やっぱり琥珀と同様、頭には三毛柄の猫耳が、腰には尻尾が生えている。