「わ、私は、これからどうすればいいんでしょうか?」


吉乃は藁にも縋る思いで咲耶に尋ねた。

だが、そもそも考えてみれば吉乃はまだ、遊女として奉公先も決まっていない状態なのだ。

大蜘蛛との一件もしかり、特別な異能を持った女を迎え入れてくれる見世などあるのだろうか。

このまま本当に遊女として働いていけるのかと考えたら、吉乃はまた不安でたまらなくなった。


「大丈夫だ。今後についても、俺に考えがある。とりあえず――これをお前に渡しておこう。〝御守り〟だ」


と、不意に吉乃の手を取った咲耶は、開かれた手のひらの上になにかを置いた。


「これは……とんぼ玉?」


渡されたのは、咲耶の銀色に薄紅色が交じった髪色と同じ色合いの、とんぼ玉だった。

理解が追いつかない吉乃は、とんぼ玉と咲耶の顔を交互に見て首を捻った。