「わ、私のせいで、咲耶さんまで好奇の目で見られてしまいます」
「そんなことは、どうでもいい。寧ろ俺は見せつけているんだ。お前は俺のものだと、帝都吉原に住む者たちに知らせている」
「え……?」
その上、返ってきたのは思いもよらない返事だった。
(私を自分のものだと知らせるって、どういうこと?)
咲耶とは、ついさっき初めて会ったばかりなのに。
どうしてそんなことを言われるのか、吉乃にはさっぱりわからなかった。
「あなたは……私を、どうするおつもりなのです?」
「さて、どうしてやろうか。美味しく食べてしまうのもいいかもしれないな」
「た、食べるって……」
と、腕の中で肩を強張らせた吉乃を見た咲耶はそっと顔を綻ばせると、不意に吉乃の耳元に唇を寄せた。