「フハハッ、愚かな女め。オマエに自覚はなくとも、オマエの中身を覗いたワシにはわかる! オマエはワシと共に来い! ワシはオマエの惚れ涙の力を使って、帝都を統べる帝の地位を手に入れるのだ!」
「あ……っ!」
直後、大蜘蛛が口から大量の糸を吐き出した。
その糸は周囲を逃げ惑っていた女たちを次々に捕らえ、あっという間に壁に張り付けにしていった。
「い、いやぁ! 蜘蛛の糸が私の身体に!」
「離して、離してよぉ!」
突然のことに室内は恐怖と混乱で荒れ、阿鼻叫喚の地獄絵図となる。
「な、なんでこんなことを……」
「ふんっ。大切な話をしているというのに、視界の端をうろうろされて鬱陶しかったのでなぁ。目障りな女たちは、このまま殺してしまおうか」
「いやぁ! お願い、殺さないでぇ!」
「や、止めて! 彼女たちは関係ないですよね!? 今すぐ解放してあげてください!」
大蜘蛛の糸に捕らわれ、命乞いをはじめた女たちを見た吉乃は咄嗟に声を上げた。
すると大蜘蛛は一瞬なにかを考える素振りを見せたあと、妖しく笑う。