「よ、よろしくお願いします」
「キヒヒッ。ふむぅ〜、ふむふむふむ」
曖昧な返事をした老人は、やはり異様な空気を放っていた。
緊張で思わずゴクリと喉が鳴る。
そんな吉乃に老人は、他の女にしたのと同じように、大きく広げた両手のひらをかざしたが……、
「むむむむむむ……な、なんと〜っ!」
すぐにカッ!と目を見開くと、突然、周囲を仰天させるほどの大声を上げた。
「オマエっ、異能を隠し持っておるな!」
「え?」
「それも、随分と珍しい力だ! これは大変なことになったぞ!」
老人の言葉を聞いた途端に部屋の中がどよめいて、その場にいる全員が吉乃に好奇の目を向けた。
対する吉乃は驚きのあまり固まって、目を白黒させてしまった。