今日は涼の誕生日。
 今まで自分の気持ちに蓋をしてきた。
 でも、今日だけは。自分勝手な私をどうか許して。


 誕生日プレゼント。
 あれは私にとって賭けだったんだ。

「涼。お誕生日おめでとう」

 この前、春くんと一緒に探した四つ葉のクローバーを栞というかたちにして渡す。

「ありがと。開けていい?」

「もちろん!」

「四つ葉のクローバー?」

「そう。これが私の気持ち。探すの大変だったんだよ!」

 どう? 伝わった……かな?
 淡い期待を胸に涼のことを見つめる。

「えっと、俺に幸せになってほしいってこと?」

「……そう。私の大事な弟だからね」

 そう言って笑顔をつくって涼の部屋を出た。


 この意味を知ってたら、肯定して想いを伝えようって思ってたけどやっぱり知らなかったか。
 散々、弟だよって言ってきた。ずっと涼の姉として接してきたつもり。

 でも、あなたのこと好きだったよ。
 弟してじゃなくて、ひとりの人として好きだった。

 今日からはもう涼のこと意識しないようにする。
 はやくこの想いが消えるように。