家でひとり昔のアルバムの整理していた。
そこには俺の母さんも当然映っている。
会いたいな。
「それ前のお母さん?」
「わっ!」
目の前には桜の顔があった。
いつも急に現れるな、と思う。
「ごめんごめん。驚かせちゃった!?」
そういいながら、俺の隣に座る。
その目線はアルバムに向けていた。
「ううん、別に!」
「会いたい?」
俺の隣に座りながら桜が問う。
「……ずっと会ってないからちょっとだけ」
「そっか」
もう何年も会ってない。
でも、母さんも新しいだれかと結ばれて新たな家族の形をつくっていてくれていたら嬉しいと思う。
「桜だって自分のお父さんと会いたくないの?」
俺だってまだ時々会いたくなる。
でも、父さんに会っちゃいけないって言われてるし。
だから、桜も会いたくてたまらないだろうと勝手に思っていた。
「あぁ、私は別にだよ……」
そっけなく返された。
そういえば、桜のお父さんは隣町に住んでいるし、会えない距離ではないだろう。
だからなのか? そう思っていると桜が疑問を見透かしたように話す。
「だって、会おうと思えば会えるし。お母さんとお父さんの縁はずっと切れないし……」
どういう意味だろう。
そんな顔をしていると桜が苦笑いして話し出した。
「実は私のお母さんとお父さん義理の兄妹だったんだよね」
「えっ?」
思ってもないことを言われ、素っ頓狂な声が出る。
「親同士の反対を押し切って結婚したらしいけど。近すぎる存在は逆によくないみたい。それに別れても義理の兄妹ってことは変わらないからつらいって。だから私たちのこと自分たちみたいになるかもしれないことを心配してる」
ただただ驚いて、声も出なかった。
桜の両親が義理の兄妹だったなんて。
お母さんがそんなこと心配してたなんて。
「だから、ね?」
桜はもしかして俺の気持ちをもう見透かしてるのだろうか。
それとも、これはただの忠告なのか。
「……うん」
俺は頷くことしかできなかった。