「もうすでに調査を入れる手はずになっています」
「さすがですね」


父はその男にだまされていたの?
衝撃で絶句した。


「郁子、大丈夫か?」
「は、はい」


敏正さんが助けてくれなければ、だまされて借金を背負わされた挙げ句、遊女に身を落として最悪死んでいたかもしれないのだから、気持ちの整理がつかない。


「さて、せっかくの休みだが、実家に行って叱られてこよう。郁子は二階の部屋でひと眠りしなさい。どうせ寝ていないのだろう?」


敏正さんは立ち上がり、部屋を出ていった。


「あ、あのっ。叱られるなら私が」


ハッと我に返り、残っている一橋さんに訴えると、クスリと笑われる。


「社長は懐の深いお方ですので、ご心配いりません。雷は落ちるでしょうが、副社長の奥さまの縁があるので認められるでしょう。きっと大丈夫」


本当に?