「だからね、私のおかげとかじゃなくて、美桜ちゃん自身が変わったから。だから今の美桜ちゃんが纏う雰囲気が変わったんだと思う」
「私が、変わった?」
「うん、美桜ちゃん変わったよ。凄くいい方向に。あ、順番来たよ」
そう言うと心春は手早く二人分の注文をする。慌てて財布を取り出し代金を支払うとアイスクリームを受け取った。
近くのベンチに二人並んで座ると、さっそく買ってきたばかりのアイスを頬張った。
「んん! 美味しい!」
口いっぱいに広がるほろ苦さとクリームの甘さ。思わず頬張る美桜を心春は楽しそうに見つめている。
そしてポツリと尋ねた。
「ねえ、美桜ちゃん。聞きたいことが、あるんだけど」
「聞きたいこと?」
「うん。……美桜ちゃんってもしかして敦斗のこと、好きだった?」
その言葉にまるで顔面を殴りつけられたかのような衝撃を受けた。手が小刻みに震え、アイスを落としそうになってしまう。慌てて両手でしっかりとコーンを持つと、美桜は震える声で尋ね返した。
「どうして、そう、思ったの?」
「んー、なんとなく。話聞いてたり今までの様子を見てたりして。違った?」
その言葉に、悪意や敵意があるようには感じられなかった。けれど、美桜は心春の言葉を肯定するわけにはいかない。心春だから、ではない。美桜のすぐそばには、敦斗がいるのだ。その敦斗に聞かれるわけにはいかなかった。だから、美桜はできるだけ平静を装うと、口を開いた。
「違う、よ」
「ホントに?」
「……うん。上羽さんの、勘違いだよ」
美桜はぎこちなく笑うと、アイスを一口頬張った。あんなに美味しかったはずのアイスなのに、もう何の味もしない、ただの冷たいだけの何かに成り下がっていた。
そして、何の進展もないまま、敦斗の四十九日まで残すところ一週間となった。今まで色々なことを試してきたけれどどれも敦斗の成仏へは結びつかなかった。このままでは未練を晴らすことができないまま四十九日を迎えてしまう。そうなれば敦斗がいったいどうなってしまうのか、想像するだけで恐ろしく敦斗に尋ねることもできなかった。
「私が、変わった?」
「うん、美桜ちゃん変わったよ。凄くいい方向に。あ、順番来たよ」
そう言うと心春は手早く二人分の注文をする。慌てて財布を取り出し代金を支払うとアイスクリームを受け取った。
近くのベンチに二人並んで座ると、さっそく買ってきたばかりのアイスを頬張った。
「んん! 美味しい!」
口いっぱいに広がるほろ苦さとクリームの甘さ。思わず頬張る美桜を心春は楽しそうに見つめている。
そしてポツリと尋ねた。
「ねえ、美桜ちゃん。聞きたいことが、あるんだけど」
「聞きたいこと?」
「うん。……美桜ちゃんってもしかして敦斗のこと、好きだった?」
その言葉にまるで顔面を殴りつけられたかのような衝撃を受けた。手が小刻みに震え、アイスを落としそうになってしまう。慌てて両手でしっかりとコーンを持つと、美桜は震える声で尋ね返した。
「どうして、そう、思ったの?」
「んー、なんとなく。話聞いてたり今までの様子を見てたりして。違った?」
その言葉に、悪意や敵意があるようには感じられなかった。けれど、美桜は心春の言葉を肯定するわけにはいかない。心春だから、ではない。美桜のすぐそばには、敦斗がいるのだ。その敦斗に聞かれるわけにはいかなかった。だから、美桜はできるだけ平静を装うと、口を開いた。
「違う、よ」
「ホントに?」
「……うん。上羽さんの、勘違いだよ」
美桜はぎこちなく笑うと、アイスを一口頬張った。あんなに美味しかったはずのアイスなのに、もう何の味もしない、ただの冷たいだけの何かに成り下がっていた。
そして、何の進展もないまま、敦斗の四十九日まで残すところ一週間となった。今まで色々なことを試してきたけれどどれも敦斗の成仏へは結びつかなかった。このままでは未練を晴らすことができないまま四十九日を迎えてしまう。そうなれば敦斗がいったいどうなってしまうのか、想像するだけで恐ろしく敦斗に尋ねることもできなかった。