「そうだよね、ジンクスに後押ししてもらいたいって言ってたもんね。ってことはここで告白するつもりだったんだ? うわー、ロマンティック。そんなの上羽さんじゃなくてもときめいちゃうよねー」
動揺を隠そうとすればするほど言葉は早口になり、意味のないことばかりつらつらと話してしまう。おかしくもないのに笑いながら美桜は敦斗の方を見る。笑っているのは美桜だけで、敦斗は真剣な顔をしていた。その表情に、美桜の貼り付けるようにむりやり浮かべた笑顔が消えていく。
ゴンドラは微かな音を立てながらどさらに高度を上げていく。敦斗の後ろに見える観覧車の軸が真っ直ぐになるのが見えた。一番上だ、そう美桜が思うのと敦斗が口を開くのが同時だった。
「好きだ」
「……え?」
真剣に美桜を見つめる敦斗に言葉が出てこない。今、なんて言った? なんて言われた? 心臓が止まりそうになるほどドキドキする。けれど、そんな美桜に敦斗は言葉を続けた。
「って、言おうと思ってた。好きな、やつに」
「そっ……か」
「おう」
敦斗の少し赤くなった頬を見て、美桜はもう一度「そっか」と呟くと敦斗に背を向け外を見る。
「一番上、通り過ぎちゃったね」
頬を涙が伝い落ちる。心臓が痛い。痛くて、痛くて、辛い。
さっきの好きは美桜にじゃない。心春への好きだとそうわかっているのに、一瞬、まるで自分に言われているように思ってしまった。そんなこと、あるわけないのに。
辛い。辛くて辛くて仕方がない。
どうして敦斗の好きな子は、美桜ではないのだろう。どうして心春なんだろう。
……ううん、違う。
どうしてなんて言うけれど本当は美桜にもわかっていた。心春がどれだけいい子で優しくて周りを見ているのかを。敦斗が好きになったって何も変じゃない。ずっとそばにいて好きにならない方がおかしいと、そう思ってしまう。
だんだんと地上が近づいてくる。夢のような時間は夢のまま終わりを告げる。
「お疲れさまでしたー!」
ガタンという音とともに係の人がゴンドラの扉を開け、美桜は観覧車から降りる。そのあとを敦斗がついて出る。
他に何か乗る? とか、楽しかったね、とか何か言おうと思うけれど、どうしても言葉が出てこない。
「あ、美桜ちゃん!」
動揺を隠そうとすればするほど言葉は早口になり、意味のないことばかりつらつらと話してしまう。おかしくもないのに笑いながら美桜は敦斗の方を見る。笑っているのは美桜だけで、敦斗は真剣な顔をしていた。その表情に、美桜の貼り付けるようにむりやり浮かべた笑顔が消えていく。
ゴンドラは微かな音を立てながらどさらに高度を上げていく。敦斗の後ろに見える観覧車の軸が真っ直ぐになるのが見えた。一番上だ、そう美桜が思うのと敦斗が口を開くのが同時だった。
「好きだ」
「……え?」
真剣に美桜を見つめる敦斗に言葉が出てこない。今、なんて言った? なんて言われた? 心臓が止まりそうになるほどドキドキする。けれど、そんな美桜に敦斗は言葉を続けた。
「って、言おうと思ってた。好きな、やつに」
「そっ……か」
「おう」
敦斗の少し赤くなった頬を見て、美桜はもう一度「そっか」と呟くと敦斗に背を向け外を見る。
「一番上、通り過ぎちゃったね」
頬を涙が伝い落ちる。心臓が痛い。痛くて、痛くて、辛い。
さっきの好きは美桜にじゃない。心春への好きだとそうわかっているのに、一瞬、まるで自分に言われているように思ってしまった。そんなこと、あるわけないのに。
辛い。辛くて辛くて仕方がない。
どうして敦斗の好きな子は、美桜ではないのだろう。どうして心春なんだろう。
……ううん、違う。
どうしてなんて言うけれど本当は美桜にもわかっていた。心春がどれだけいい子で優しくて周りを見ているのかを。敦斗が好きになったって何も変じゃない。ずっとそばにいて好きにならない方がおかしいと、そう思ってしまう。
だんだんと地上が近づいてくる。夢のような時間は夢のまま終わりを告げる。
「お疲れさまでしたー!」
ガタンという音とともに係の人がゴンドラの扉を開け、美桜は観覧車から降りる。そのあとを敦斗がついて出る。
他に何か乗る? とか、楽しかったね、とか何か言おうと思うけれど、どうしても言葉が出てこない。
「あ、美桜ちゃん!」