雰囲気に流されて泣いておけば何か言われることもなく楽だと思う。悲しんでいるふりをすればいい。でも美桜には悲しむ資格なんてなかった。美桜が涙を流すことなんて、きっと敦斗は望まない。美桜になんて、憐れまれたく、ないだろう。
とはいえ、敦斗はクラスメイトだ。悼む気持ちはあるので葬式には行こう。それぐらいはクラスメイトの義務だと思うから。それぐらいなら、許されると思うから。
つらつらと頭の中で自分を納得させるためのいいわけが湧き出てくる。そうでもしないと、敦斗の葬式に行く自分を、最後に人目会いたいと思ってしまう自分を許せそうになかった。
そのあと敦斗の母に連絡をした岡野は全員で来てくれると聞いて喜んでいたと言っていた。通夜を明日の土曜日に、葬式は明後日の日曜日に行われるとのことだった。
学校に集合してB組全員で行くという岡野の言葉を、美桜はどこか他人事のように聞いていた。
日曜日、休みの日だというのに制服を着ると、誰もいない自宅を出る。昨夜、久しぶりに帰ってきていた母親はもう仕事に出かけたようだ。また当分帰ってこないのだろう。
学校に向かう途中、敦斗の家の前を通りかかった。小学校、中学校と同じ敦斗の家は美桜の自宅からそう遠くない場所にあった。昔ながらの平屋建ての敦斗の家は、数年前まで祖母と同居していた。その祖母が亡くなったときも今と同じようにたくさんの人が出入りしていたのをよく覚えている。
歩いて行ける距離にあるので学校で集合をしなくても直接行った方が早いのだけれど、そんなことを言えば変な目で見られるのはわかっている。どういう関係? なんて言われようものなら困ってしまう。今も昔も関係なんて一ミリ足りともないのだから。
美桜は敦斗の家に入っていく人たちを横目で見ながら足早に通り過ぎようとした。
「あれ?」
敦斗の家のドアは出入りする人の開けっぱなしにされていた。その向こうに美桜と同じ学校の制服を着ている人がいるのが見えた。敦斗の兄はもう高校は卒業しているはずだし、クラスメイトなら学校から一緒に行くはずだ。岡野が直接行く人がいないか確認していたから確かだ。
とはいえ、敦斗はクラスメイトだ。悼む気持ちはあるので葬式には行こう。それぐらいはクラスメイトの義務だと思うから。それぐらいなら、許されると思うから。
つらつらと頭の中で自分を納得させるためのいいわけが湧き出てくる。そうでもしないと、敦斗の葬式に行く自分を、最後に人目会いたいと思ってしまう自分を許せそうになかった。
そのあと敦斗の母に連絡をした岡野は全員で来てくれると聞いて喜んでいたと言っていた。通夜を明日の土曜日に、葬式は明後日の日曜日に行われるとのことだった。
学校に集合してB組全員で行くという岡野の言葉を、美桜はどこか他人事のように聞いていた。
日曜日、休みの日だというのに制服を着ると、誰もいない自宅を出る。昨夜、久しぶりに帰ってきていた母親はもう仕事に出かけたようだ。また当分帰ってこないのだろう。
学校に向かう途中、敦斗の家の前を通りかかった。小学校、中学校と同じ敦斗の家は美桜の自宅からそう遠くない場所にあった。昔ながらの平屋建ての敦斗の家は、数年前まで祖母と同居していた。その祖母が亡くなったときも今と同じようにたくさんの人が出入りしていたのをよく覚えている。
歩いて行ける距離にあるので学校で集合をしなくても直接行った方が早いのだけれど、そんなことを言えば変な目で見られるのはわかっている。どういう関係? なんて言われようものなら困ってしまう。今も昔も関係なんて一ミリ足りともないのだから。
美桜は敦斗の家に入っていく人たちを横目で見ながら足早に通り過ぎようとした。
「あれ?」
敦斗の家のドアは出入りする人の開けっぱなしにされていた。その向こうに美桜と同じ学校の制服を着ている人がいるのが見えた。敦斗の兄はもう高校は卒業しているはずだし、クラスメイトなら学校から一緒に行くはずだ。岡野が直接行く人がいないか確認していたから確かだ。