ということで、数分も経たないうちに目的地に到着。

 俺もあまり詳しくはないのだが、印象だけで話すと、このゲームセンターは家族向けに設計されているような感じだった。

 実際、俺たちみたいな学生より子供が多いし、UFOキャッチャーの景品に置かれている人形は可愛らしいものが多かった。

 だが、先輩はそういったものに興味はないのか、入り口に置かれていたUFOキャッチャーの台を通り過ぎ、奥のビデオゲームコーナーへと足を運んだ。

 そして、興味深そうにとある筐体の前で足を止めた。

「慎太郎くん、これはなんだい?」

 先輩が立ち止まったのは、シューティングゲームの筐体だった。
一応、俺は最低限の知識を持っていたので、一通りどんなゲームなのか説明することにした。

 紗季先輩は、俺の説明を聞き終えると、顎に手を乗せながら考えたのち、その筐体の前まで近づいていく。

「ふむ、では、これにしよう」

 そして、先輩は設置されていたゲーム用の銃を二つ持って、一つを俺に渡してきた。

「俺も一緒にやるんですか?」

「当たり前じゃないか。もしかして、怖いのは苦手かい?」

 念のためなのか、そんな確認をしてくる先輩。

 その間にも、デモ画面にはゾンビが次々と襲ってくる映像が流されていた。

「別に、パニックホラーは苦手じゃないですけど……」

「そうかい。では、始めよう」

 紗季先輩は、財布からコインを取り出して投入口に入れる。そのときに俺の分のコインまで入れてしまったので、その料金は後でちゃんと返すことを忘れないようにしておこう。

 すると、流れていたデモ画面が切り替わり、ゲームが開始される。

 最初はゲーム説明も含めたデモンストレーションプレイが始まり、一体のゾンビが俺たちに襲ってくる。

 そんなゾンビを、紗季先輩は説明テキストの指示通りに銃弾を撃ち込んだのだが、初めてとは思えない見事なヘッドショットを決め、ゾンビは一瞬で消滅した。