そして、いつものように先輩と別れる時間がやってくる。

「それじゃあ、そろそろ閉めようか。慎太郎くん、明日はゆっくり自分の時間を過ごすといい」

 そういって帰宅する準備をしていた先輩に向かって、俺は告げた。

「あの、先輩……。また、ここに来てくれるって約束してください」

 たった一日だけだとしても、先輩に会えないことが、俺にはどうしようもなく不安で、ついついそんなことを口走ってしまった。

「ふふっ、なんだい、それは?」

 しかし、先輩はくすくすと笑うだけで、俺の言葉を真剣に受け止めてくれていないようだった。

 だけど、俺が欲しかった答えが先輩の口から発せられる。

「大丈夫だよ。私はちゃんと、またここに来るから」

 そういった先輩の表情は、とても嘘をついているようには見えなかった。

「また会おうね、慎太郎くん」

 その言葉だけで、俺の不安は、どこかへ消えてしまったのだった。