そして、一階に降りて居間の縁側を見ると、朝にはなかった風鈴が付けられていた。 かすかに流れる風に反応して「チリン、チリン」と涼しい音色を奏でる。 まるで、夏が始まったことを、俺に伝えているようだった。 どうして、俺がこの時代に戻ってこられたのか、それは全く分からないけれど、やるべきことは一つしかない。 黒崎(くろさき)紗季(さき)が、この夏に自殺なんてしないようにすればいい。 俺の嫌いな夏が、始まろうとしていた。