まぁ、今はそんなことはどうでもいい。
俺は先輩にもちゃんと誤解されないように説明を付け加える。
「えっと、つまり、図書室の開放は去年みたいな当番制じゃなくて、二人で一緒にやりませんか? ってことなんです。そのほうが仕事もしやすいと思いますし……」
自分で言ってしまってから気が付いたが、そもそもうちの図書委員はどの委員会活動と照らし合わせても、ぶっちぎりで暇な委員会だ。
そして、ただでさえ暇なのに、夏休み期間ともなれば、もっと仕事の量は減るだろう。
だからこそ、先生も図書室の閉鎖を提案したのだろう。
なので、俺の意見は全く合理的ではない。
「ああ、そうだね。慎太郎くんの言う通りだ」
しかし、紗季先輩は俺の返答に納得した様子を見せて、笑みを浮かべた。
「それじゃあ、夏休みもよろしく頼むよ、慎太郎くん」
そう告げた彼女の笑顔は、どうしようもなく綺麗で、やっぱり俺は今、夢を見ているんじゃないかと疑ってしまったのだった。