「って、こら、慎太郎! あんたはテレビみてないで、早く食べなさい!」
俺がじっとテレビを見てしまっていたからなのか、母さんに注意をされてしまう。
仕方ないので、俺は母さんの言う通りにして朝ご飯を食べ終わると、寝癖も直さないまま学生服に着替えて、家を飛び出した。
俺の感覚では、ずいぶんと久しぶりの学生服だったので、なんともいえない気持ちになってしまう
やはり、今の俺は、高校二年生の頃の俺ということになるらしい。
そして、朝だというのに直射日光を浴びた瞬間、一気に汗が全身から噴き出してくる。
俺も覚えていなかったが、2015年の日本の夏もかなり暑かったようだ。
「この感覚……絶対夢じゃないよな……」
見慣れた風景を歩きながら、俺はこれが決して夢ではないことを実感しつつあった。
都会とは違って家と家の間に距離があって、無駄に高低差がある整備されていない道を歩く、この感覚。
俺は本当に、五年前の世界に戻って来てしまったのか?
でも、だとしたら一体どうして……。
これがSF映画なら、何かの実験に巻き込まれて過去にタイムスリップした、なんてことになるのだろうが、俺は昨日の夜も至って普通に過ごしていた。
原因がわかれば、俺は元の時間軸に戻ることができるのかもしれないが、生憎、全く身に覚えがない。
いや、そういえば、昨日は確か、変な夢を見たような……。