「……は?」
いやいや。ちょっと待て。
母さんの言った台詞に、俺はさらなる混乱を強いられることになる。
散りばめられたワードの一つ一つは、なんの変哲もない日常会話のそれだ。
しかし、母さんから発せられた言葉の全てが、今の俺の状況からあまりにも乖離してしまっている。
俺は今、大学は絶賛夏季休暇中だし、もちろん、ここから大学にわざわざ行くような用事もない。
一体なんなんだ……。
と、頭を抱えようとしたその時、俺の視界にあるものが飛び込んできた。
俺の部屋に掛けられてあった、カレンダー。
それは何の変哲もない、母さんが毎年銀行から貰ってくるもので、いつのまにか勝手に俺の部屋に貼られているものだ。
「……えっ?」
だが、俺は飛び跳ねるようにそのカレンダーへと近づき、数字を確認する。
カレンダーは、何の予定も書かれていない真っ白なもので、最初から印刷されている数字が大きく記載されている。
2015年 7月。
その西暦は、今から五年も前のものだった。