〇 〇 〇
不思議な夢を見ていた。
身体の自由がなくなり、俺はまるで液体になってしまったかのように、全ての感覚が曖昧だった。
ぼやける世界を眺めると、辺り一面真っ暗で、ここがどこなのかも不明だ。
自分が呼吸をしているのか、それすらもわからない。
それでも、何故か自然と冷静でいられたのは、どこか居心地がよく、このままずっとこの世界に浸っていたいと思ったからだ。
理由は、わからない。
だが、この『何もない世界』は、何故だか俺がずっと探し求めていた世界のような気がしてならなかった。
そんな中、俺の目の前に球体のような光が灯り、やがてそれは俺の前までゆっくりと近づいてくる。
今にも消えてしまいそうな頼りない淡い光が、チカチカと点滅する。
そして、その点滅と同時に、俺の頭の中で声が響く。
――■■、■、■。
まるでノイズが掛かっているように、上手く聞き取ることができない。
それでも、その言葉を理解しなくてはいけないと、本能的に感じてしまう。
どこか懐かしくて、心の底から安心できる声。
――■■■、■■
だけど、今はとても苦しそうで。
それじゃあ、まるで……。
――■■■くん。■■■くん。
そして、彼女は最後に、僕にこう告げた。
――私は、ここにいるよ。
その瞬間、暗闇だった世界が白い光に包まれたのだった。