そう思った瞬間、遠くから、何かが爆発するような音が聞こえて、少しだけ景色が明るくなった。

「はな……び?」

 俺はそう呟くと、自然と口が綻んでしまった。

 きっと、夜空に輝く花火は、とても綺麗なのだろう。

「ははっ……せっかくなら、先輩と……見たかった、な……」

「慎太郎くん!!」

 そして、俺の視界は、どんどんと暗闇に染まっていく。


 ――ああ、せめて最後だけ。

 ――もう一度、紗季先輩の笑顔が見たいと、そう思ったのだった。