そして、俺の考えが正しいと証明するかのように、ポケットに入れていたスマホが震え出したので取り出すと、相手は空也さんだった。

『あっ、もしもし。白石くん! きみに伝えたいことがあるんだが……』

 と、空也さんは言い淀みながらも、俺に言った。

『紗季が、いなくなった』

 もし、その台詞を、数分前の俺なら焦る気持ちを抑えられなかっただろう。

 だが、今の俺は違う。

 もう、紗季先輩が今、どこにいるのかを、知っている。

 ただ、それを空也さんに伝えるべきか、一瞬だけ考えてしまった。

『すまない、僕の責任だ。きみからも、ちゃんと忠告してくれていたのに……』

 だが、電話越しでも分かる沈鬱な様子に、俺は空也さんに現状を伝えることを決意した。

「……空也さん! 俺、多分、紗季先輩がいる場所、わかります!」

『えっ!? 本当かいっ!? 紗季は、一体どこに行ったんだ!?』

 走ってまま通話をしているせいで、息も絶え絶えで話していたのだが、空也さんはそのことに対して言及することなく、俺から紗季先輩の居場所を聞き出そうとする。

「夏祭りをやってる賀郭神社です! 多分、そこに紗季先輩はいると思います!」

『……わかった。賀郭神社だね。僕もすぐに向かうよ』

 そういうと、空也さんは通話を切ってしまった。

 俺も、全速力で賀郭神社へと向かう。

 そこで、紗季先輩が待っている。