空也さんが言っていたように、紗季先輩は図書室に来なくなってしまった。
そのことに関して、俺は若干の不安を覚えたが、空也さんが俺に気を遣ってくれているのか、頻繁に紗季先輩の様子を送ってくれた。
中には、紗季先輩が今日の朝食に何を食べたかなど、事細かに書かれていた時はさすがに驚いたけど、それは紗季先輩が元気でいてくれる証拠にもなるので、安心できる材料になっているのは確かだった。
また、紗季先輩の体調も徐々によくなっているそうだが、まだ医者からは安静にしておくようにと言われているらしい。
しかし、空也さんがいうには、たとえ医者が許可を出したとしても、あの母親が紗季先輩を外に出すことを許可するとは思えない、とのことだ。
そればかりは、下手に刺激を打たない方がいいと思うので、従っておくのが吉というのが空也さんの判断だった。
『母さんも鬼というわけではないからね。またしばらくしたら、紗季の自由にさせるはずさ』
そんなメールが届いたときは、俺も早くそんな日が来てほしいと祈るばかりだった。