八月三日、月曜日。

 もう慣れてきたと思っていた夏の暑さは、今日も容赦なく学校へ向かう俺を襲う。

 まだ朝だというのに、アスファルトから照り返してくる太陽の熱は、俺の足取りを重くさせるのには十分な威力だった。

 だが、俺の足取りが重たいのは暑さだけのせいではない。

 その理由は、もちろん紗季(さき)先輩のことだ。

 連絡先はずっと昔に交換していたものの、彼女はスマホを持ち歩くという習慣がないようで、あまり連絡ツールとしては機能していなかった。

 それでも、昨日はあれから先輩がどうなったのか気になった俺は、簡単な文面だけメールで送信しておいた。

 あのお兄さんの発言から察するに、先輩は俺と無断で出かけたようだったし、何か親から言われていないのかと心配になったからだ。

 そして、俺の送ったメールには簡単な文面で「大丈夫だよ」とだけ、一応返信は返してくれていた。

 それに、今日は珍しく先輩のほうから「本当に、今日は無理に来なくていいからね」とメールが送られてきた。

 きっと、先輩と別れる直前に、俺が倒れてしまったことを気にしてくれているのだろう。

 しかし、俺なんかより、今は紗季先輩のほうが心配だ。

 だから、俺に休むという選択肢はない。