この絵が僕みたいって……
 理由を聞いても全然理解できそうになかった。

 でも、誰かにこの絵を褒めてもらうのは嬉しいなぁ。やっぱり絵を描いている時間は楽しい。

 僕がそんなことを思っていると、急に、あっ、と手を叩いて声を上げるから僕は驚いてビクッとする。

「じゃあハルの世界は、キャンパスってことじゃない?」

 またまた、わけの分からないことを告げられたから困惑して、え、と声を漏らす。

「……キャンパス?」
「うん! キャンパスって初めは真っ白でしょ? でも描いていくうちに少しずつ色が重なって奥行きが出るっていうか」

 なんて言ったあと、うんうんそうだ! と一人勝手に納得するから、ますますわけが分からなくて困惑した僕は。

「えーっと、だからなに?」
「分からない?」
「うん、ちっとも」

 そう答えた僕に、もーだから、と続けると、

「ハルの可能性は無限大ってこと!」
「む、無限大? …そんな大袈裟な」

 彼女から目を逸らすと、大袈裟じゃないよ、と逸らした視界に移動してくる水帆。

「ハルはまだ真っ白なキャンパスなの。だから未来は選び放題ってこと!」

 なるほど、うまいこと言った。
 ーーじゃなくて!!

「いや、なに言ってるの。僕の未来なんてもう決まってるし」

 今まで絵の話をしていたはずなのに、どうして急に未来の話に話題が切り替わるんだろう。

「そうだとしてもハルは無限大なの!」

 そう言って僕の手からキャンパスを取ると、その絵を僕に向けた。

「これ、日差しを浴びてる木でしょ?」

 どうして水帆が僕の絵のことを説明してるんだろう、とはもう聞かなかった。

「そう…だけど…」
「おひさまの日差しをたくさん浴びてすくすくと育った大きな木に葉っぱがたくさん。だからね、ハルはその大きな木だと思うの!」

 そう言って僕を見て笑うから、

「な、なに、言って……」

 どうして僕がこの絵の中の木なのか全然、意味が分からない。

 ーーでも、水帆は。