少し遠くのコンビニまで時間潰しのために歩いて向かった。
十七時を過ぎているからあたりはだいぶ暗くなる。冬になるに近づれて陽も早く沈む。
コンビニでは、この時期になると肉まんが早々に売り出される。
僕は好物のあんまんと肉まんの二つと、紅茶を買った。
これで夜ご飯を済ませようと思った。
どうせ腹も空いてないし、家で一人で食べてもおいしくないから。
それにコンビニ弁当は味が濃ゆくて得意ではない。
コンビニを出ると、ひゅうっと風が僕を通り過ぎる。頬を撫でて過ぎ去った風は、ひんやりとしていて僕の体温を奪った。
「うー、寒っ」
もっと暖かい格好をしてくればよかった。
近場だからと油断して、黒ズボンにロングTシャツしか着て来なかった。
でも、いいや。どうせ僕が風邪をひいたって親なんて心配するどころか、気にも留めないだろう。
実の息子よりも患者を優先する。
医者なら当然といえばそうなのだけれど、僕からしたらそれは少しだけ複雑な気持ちだ。
「僕ってほんと無意味だなぁ……」
何のためにこの世界に生まれたんだろう。
この先、生きていてもいいことなんてあるのだろうか。
勉強は、必死にやれば少しずつできるけれど、僕の存在理由なんて必死になったって分からない。
分からないものはいくら時間をかけて考えたって分からない。
結局、答えなんて出ないまま放置される。
きっとそれは、今もこれからも一番の難問で解き明かすことのできない謎だ。