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同じ高校の、陸上部だった。
3年前。
高2の春、満島くんに告白されて、付き合うことになった。
朝練ではいつも遅刻ギリギリにグラウンドに来て顧問の先生に怒られていたけれど、走っているときの満島くんは誰よりもカッコよかった。
背が高くて、明るくて、面倒見もいい満島くんは、夏には部長に任命され、みんなから頼りにされていた。無愛想な私のことも、よく気にかけてくれた。
満島くんに告白されて、本当は飛び上がりたいくらい嬉しかったのに、やっとのことで口から押し出した返事は「べつにいいけど」という可愛げのかけらもないものだった。
そんな私に、満島くんは弾けるように笑ってくれて、その笑顔にきゅんとしたのだった。
部活のあと、毎日一緒に帰った。満島くんは私よりも背が高くて、隣を歩くと緊張した。話し下手な私はあまり自分から喋れなかったけれど、満島くんの話はおもしろくて、ずっと聞いていたかった。
そんな中、
私といて、満島くんは楽しいんだろうか。
というか、私のどこを好きになってくれたんだろう。
いつも不安だった。
私と満島くんはクラスも違い、同じ部活という共通点しかなかった。
もっとかわいくて楽しい子はたくさんいるはずなのに、どうして私なんだろう……。
だけど、そんな不安も帳消しにしてしまうくらい、私にとって、満島くんと一緒にいる時間は、とても大切だったのだ。