「いや、ちょっと知り合いに似てたからさ。俺、満島航です。よろしく、日浦さん」
「なんだぁ、びっくりした」
紗栄子がホッとしたように笑った。
冷静な満島くんの返しに、私は助かったような、でも少し寂しいような、複雑な気持ちになった。
『日浦さん』
自分から否定したのに、その呼び方に傷ついている。
私は彼と向かい合って、少しだけ顔をあげる。目が合った瞬間、鼓動が速くなった。
部活をやっていたとき、女子からプレゼントをもらうことはたまにあった。
だけど、私のことを好きだと言ってくれた人は、満島くんひとりだった。