私の盲目な恋

二年も好きでい続けたんだ。
彼は24歳に、私は26歳に。
中高生の頃、2歳上の先輩がやけに大人に見えた。
でも、大人になった今では、2歳の差なんて、誤差そのもの。
彼だってきっとそう思ってくれている。


頭の中で広がってゆく、彼との甘い記憶。
レッスン後のお喋り。
たったそれだけなのに、どうしてこんなに満たされるのか、自分でも分からない。
誰かをこんなにも好きだと思ったのが、生まれて初めての経験だったからかもしれない。20代半ばにもなって、と笑われるかもしれないけれど、これが私にとっての、本当の初恋だったのかもしれなかった。


「蓮くん」
夜、寝る前に彼の名前を三回唱える。
そうすれば、彼が夢に出てきてくれると思って。
中高生みたいだって笑われてもいいから、夢の中でさえ、彼に会いたかった。
現実では手を繋いだり抱きしめたりできないけれど、夢だったらできるかもしれない。

「蓮くん」

夢だけじゃなくて、現実にしたい。
私は、塚本蓮を心の底から愛している。

愛している。きっと、ずっと。

決意が芽生えたのはその時だった。
目を閉じて、暗闇の中で、固く心に決めたこと。
彼に、自分の気持ちを伝えよう。
なんとなく一緒にいたり、なんとなく暗黙の了解でお付き合いしたりするのではなく、きちんと言葉にしたい。
蓮くんは私の気持ちに答えてくれると思う。
彼の優しい顔が、脳裏に浮かぶ。
精一杯の想像で、彼の顔を心の中で余計にくしゃっと笑わせてみた。
私の想像する、彼の心からの笑顔。
こんな表情を、夢の中ででも、彼は見せてくれるだろうか?