さすがに言い過ぎたこと、自分の気持ちが届かなくて悔しかったこと、志倉を傷つけてしまったことを、本当に反省しているようだ。
彼女が思ったことをそのまま言ってしまうのは、本当にその素直さが良くも悪くも影響しているのだと思う。
少しだけ不憫に思ったので、俺は彼女の気持ちとちゃんと向き合うことにした。
「お前、俺のこと好きなの?」
「えっ、えっと……、うん」
俺の唐突な質問に、彼女は一気に赤面し、誤魔化す余裕もなく、ただ素直にうんと頷く。
ずっと好意が駄々洩れていることには気づいていたけれど、“答えがわからない”状況が一番辛いことを、志倉とのことを通して少しは知っているから。
だから、心が読めたとしても、人の気持ちには、ちゃんと向き合わなければと思った。
「俺、好きな子いるから」
ストレートにそう伝えると、ズキッという痛みが、目の前にいる南と共鳴して心臓に走る。
彼女は泣きそうになるのを必死に堪えながら、本当は聞きたくないことをわざわざ問いかけた。
「……それって、志倉さん? あ、ごめん、煽るとか、もうそういうんじゃなくてただ……」
「そう、“志倉さん”」
「あ、そう……なんだ」
「うん、じゃあ」
即答した俺に対して、また心臓に響くくらいのショックを受ける彼女。
そうなるのだったら、聞かなければよかったのに、と思う。
だけど、聞いてくれてよかったとも思う。少しでも、彼女の気持ちを切り替えられる材料になるのならば。
誰かを好きになるという感情は、今まで何度も読み取ってきた。
それはとても儚くて、温かくて、脆くて、不安定で、読み取るたびに心臓が痒くなるような、そんな感情で。
自分に好意が向けられていると分かったときは、わざと嫌われるようなことをして、人を遠ざけていた。
だけど今は、なんて残酷なことをしていたんだろうと思う。
俺はずっと、心が読める力を使って、自分の心だけを守ってきたんだ。
こんなに心の汚い自分が……、志倉に会いに行ってもいいのだろうか。
美術室前に着いたけれど、俺はピタリとその場に立ち尽くす。
この行動は、正しいだろうか。いつか志倉のことを傷つけやしないだろうか。あの日のことは、彼女の本心だったんだろうか。
会ったら、すぐに分かってしまう。何もかも。
彼女が思ったことをそのまま言ってしまうのは、本当にその素直さが良くも悪くも影響しているのだと思う。
少しだけ不憫に思ったので、俺は彼女の気持ちとちゃんと向き合うことにした。
「お前、俺のこと好きなの?」
「えっ、えっと……、うん」
俺の唐突な質問に、彼女は一気に赤面し、誤魔化す余裕もなく、ただ素直にうんと頷く。
ずっと好意が駄々洩れていることには気づいていたけれど、“答えがわからない”状況が一番辛いことを、志倉とのことを通して少しは知っているから。
だから、心が読めたとしても、人の気持ちには、ちゃんと向き合わなければと思った。
「俺、好きな子いるから」
ストレートにそう伝えると、ズキッという痛みが、目の前にいる南と共鳴して心臓に走る。
彼女は泣きそうになるのを必死に堪えながら、本当は聞きたくないことをわざわざ問いかけた。
「……それって、志倉さん? あ、ごめん、煽るとか、もうそういうんじゃなくてただ……」
「そう、“志倉さん”」
「あ、そう……なんだ」
「うん、じゃあ」
即答した俺に対して、また心臓に響くくらいのショックを受ける彼女。
そうなるのだったら、聞かなければよかったのに、と思う。
だけど、聞いてくれてよかったとも思う。少しでも、彼女の気持ちを切り替えられる材料になるのならば。
誰かを好きになるという感情は、今まで何度も読み取ってきた。
それはとても儚くて、温かくて、脆くて、不安定で、読み取るたびに心臓が痒くなるような、そんな感情で。
自分に好意が向けられていると分かったときは、わざと嫌われるようなことをして、人を遠ざけていた。
だけど今は、なんて残酷なことをしていたんだろうと思う。
俺はずっと、心が読める力を使って、自分の心だけを守ってきたんだ。
こんなに心の汚い自分が……、志倉に会いに行ってもいいのだろうか。
美術室前に着いたけれど、俺はピタリとその場に立ち尽くす。
この行動は、正しいだろうか。いつか志倉のことを傷つけやしないだろうか。あの日のことは、彼女の本心だったんだろうか。
会ったら、すぐに分かってしまう。何もかも。