漏れ出る殺意に、俺は心の中で「そうだよな」と静かに納得する。
 半径数メートル以内に、ふたりから殺意を向けられているだなんて、笑える。
 人に嫌われることには、慣れすぎているから、今さらどうってことないけれど。

 ……だけど、お願いだ。
 この罪を償ったら、俺は志倉の世界から消えるから。
 だからあと少しだけ、彼女が俺を思い出すまで――時間がほしい。
 俺の自己中心的な“罪滅ぼし”を、どうか見逃してほしい。
 こんな風に切実に何かを願うことなんて、きっともう、人生で一度もないはずだから。