「先輩はもうすぐハタチだし、年齢差なんてどうってことないです! ちゃんと想いを伝えたほうがいい」
「…………」
「が……」
 私は、もらったペットボトルをぎゅっと握る。ハリッチなんか比じゃないくらい潰れるほど握る。そして、
「頑張ってください! 先輩も!」
 と叫ぶように言った。
 先輩は、しばらく突っ立ったまま、こちらを見つめていた。そして、その顔が見れずに私がうつむくと、
「……わかった」
 と言った。
 その返事がまた心臓をギリギリと軋ませて、息苦しくなる。でも、頑張って顔を上げて「ハハ」と笑顔を作り、大きな会釈をして反対方向へ歩きだした。
 歩きながら、涙がどんどん溢れてくる。先輩が振り返るといけないから、無理して涙は拭わなかった。だから、私とすれ違う人は、みんな私を怪訝そうに見て通り過ぎていく。
 私は、先輩とたくさん話して、先輩とバスケをして、決めたんだ。自分を変えたいって。逃げない自分になりたいって。だから……。
「えらい」
 角を曲がったところで、我慢できずに顔を覆う。
「えらい、私……」
 私は、自分で自分を何度も褒めた。明日に引きずらないように、今日で自分の気持ちに整理がつくように。