「綺麗だからって、駄々こねそうになって…ほんとはすごくあげたくなかった。だってそれは私とお母さんを繋ぐ大切なブレスレットだったから」
「…うん」
「でも私はお姉ちゃんだから、いい子だから我慢しなくちゃいけなくて…」
感情に身を委ねるようにまくし立てるように言葉を言ったあと、
「……だから、仕方なくあげたんです」
「そうだったんだ」
「でも、あげる代わりに約束したんです」
「約束?」
私へと視線を向けた先輩に、頷いたあと。
「大切にしてくれる?って聞いたら、うんって答えた。だから私は、それを信じてあげたんです」
約束を守ってくれると信じてたのに。
「それなのに……」目線を下げて拳を握りしめる。
「おもちゃで遊んでるときに引っ掛けて壊しちゃったって言われて」
「え?」
壊したところは見ていないから事実なのかどうなのか分からなかったけれど、チェーンから簡易的に外された跡がなかった。
その代わり、糸がちぎれたような跡があった、と思い出すと、
「早苗さんがそう言ってたんです」
当たり前のように言った言葉に先輩は、え、と声をもらした。
「早苗さん?」
理解が追いつかないような表情を浮かべていた。
「あ、えっと、早苗さんっていうのは、お父さんの再婚相手で……だから私の、お母さんに当たる人なんですけど…」
ぎこちなくお母さんと呼ぶと、え、と驚いた先輩は目を見開いて
「じゃあ……」
何か言いたげな様子で唇を開いていたけれど。私はそれを全て理解した上で頷いた。
「だから妹っていっても私とは半分しか血が繋がってないんですけどね」
吐き捨てるように言葉を落としたあと、まだ一口も飲んでいないペットボトルに目を落としたあと、