すると、駅の近くにあるコンビニやカラオケ店の近くだということが分かり、これなら自分でも行けそうだと納得した。


『大丈夫です。分かります!』


検索に時間がかかり、三分ほど遅れて返信する。
だけど、あお先輩からの返信はあっという間にあった。


『じゃあ明日の学校終わりとかどう?』


その文字を見て、SNSでのやりとりが現実へ繋がっているのだと再確認する。
ネットの世界だけでの約束じゃないんだ、私が生きてる、花枝七海が過ごしてる世界での話なんだ。


『はい、大丈夫です』


すーはーと息をしたあと、投稿ボタンを押す。
なんだかほんとに恋してる女の子になった気分になって、心がそわそわして落ち着かない。

一応、まだ人間らしい部分が残っていたんだなあ、と感慨深くなる。


「……てゆーか、これってデート?」


思わず口にしたそれに、私はどきっと鼓動が弾けた。
誰かと二人きりで会うなんて人生で生まれて初めての経験だった。
今までそんなこと興味もなかったし、どうでもよかった。
いい子の私は、ただ自分の世界を守るためだけに生きてるのだと思っていたから。

けれど、あお先輩に会うということは、少しだけいい子じゃない私が初めてのおつかいをするようなものなのだろうか。
だから二人きりで会うのがデートにあたるはずない。うんうん、そうだ、と一人勝手に納得する。


なんて考えていると、ピコンッとまた通知の音が鳴る。
あお先輩、連絡早いなあ……。


『じゃあ明日、ルナカフェで会おう』


まるでデートに誘われている気分になり、さらに私の鼓動はどきどきと全力疾走する。
寝る前にあお先輩とのやりとりをして、しばらく私は眠りにつけそうになかった。