高校に通ってるってことは、とりあえず四〇代とかではないってことだよね?
宮原先生はまだ二十八歳だったし。
いや、べつに先生ってわけではないだろうけど、一番濃厚者だと思う。


──ピコンッ

うわ、きた……。
読むの怖いなぁ。
細目にしながらスマホを覗いた。


『ななさんもまさか同じ学校だなんて。なんか俺たち不思議な縁ですね』


不思議な縁か……。確かにそうかも。
SNSでまさか同じ学校の人からコメントが来るなんて想像してなかったし。
なんて思っていると、またピコンッと音が鳴る。
え? 私まだ返信してないけど、とスマホを確認すると。


『俺、ななさんの力になってあげたいんです』


そんな言葉が画面に映し出されていた。
私の力に? ……そんなこと初めて言われたから、戸惑った。
けれど胸がぎゅっとなった。

顔も分からない人なのに不思議と嫌じゃなかった。


『そんなこと言われたの初めてです。だから素直に嬉しい』


タタタッとタップして文字を打ちこむと、震える指先で投稿ボタンを押した。
どきどきと胸が疾走している気分。
これって恋とか? ……いやいや、だってまだ会ったこともない人のことを好きになったりするはずないよね!
違う違う、と首を振る。

瞬く間にピコンッと返信が届く。


『やっぱ俺、ななさんに会いたい。会って、直接悩みを聞いてあげたい』


その文字を読んだ瞬間、どきっと胸が鳴る。
こんなこと一度だってなかったのに、何かの言葉に動揺させられるなんて人生で初めて。

顔が分からなくてすごく怖い。
けれど、私もあお先輩に会ってみたかった。

誰とも繋がるはずのないSNSで、なぜ私のことを見つけてくれたのか知りたかった。