休み時間になると、三人一ヶ所に集まって雑誌を見たりしていたとき、ピコンッとスマホが鳴った。
こんな早くに珍しい。もしかしてまた美織ちゃんのお迎えのことかな、なんて考えながらスマホを取り出した。
「……えっ?」
画面を見て驚いた私は、ガタッと椅子が揺れた。
それに気づいた二人は、どうしたの、と声を揃えて私に尋ねる。
「あ、ううん…」
笑顔を浮かべて何でもない、と告げると、また二人は雑誌へ目線を落とす。
私の方へ視線が向けられていないことを確認したあと、私はスマホ画面に目を落とす。
てっきり私は、早苗さんからのお迎えのお願いだと予想していたのに。
まさかの、"あお先輩"からフォローされた通知が私のところに来たのだ。
それで驚かないはずはないだろう。
だってあまりにも突然のことで、一瞬理解できそうになかった。
今までずっとフォロワーが0のままだったのに、今は私のフォロワーに1という数字がついたのだ。
だって私は、あお先輩をフォローしているわけではなかったのだ。
それなのに向こうからフォローをしてくれたのだ。
つまりそれは、これからも私と繋がりたいと思ってくれている証拠なのだと思った。
それともただ単に気まぐれなのだろうか?
あお先輩がどういう人なのかまだ分からなかった私は、驚きと戸惑いが混在する。
その通知を見つめるだけで、指先は一切動きそうになかった。
「なになに、誰かからメール?」
スマホばかりを見ていた私を怪しんで、二人は雑誌から視線を私へと移すと尋ねてくる。
「ううん、迷惑メールだった」
咄嗟に嘘をつくと、うえーと顔をしかめた二人。そのあと、受信拒否しちゃえ、と連発する。
これ以上ここでスマホをいじっていたら二人にSNSをしていることがバレそうだと恐れた私はそっとスマホを机の中に戻した。
何がなんでも隠し通さなければならないから。