今まで誰にも言われたことのない言葉が画面に映し出されていて、私は思わず、きゅっと唇を結んだ。
誰かに心配されるってこんなにも心揺さぶられるものなのかな。
それとも私の心がただ単に弱っているだけなのかな。
分からなかった。
けれど、考えるよりも先に身体が勝手に動き出して私はまた指先で言葉を紡いでいく。


『お気遣いありがとうございます』


私のことを知らない、架空の存在の人。
"あお先輩"というだけで実際に年上なのかさえも定かではない。

初めて誰かと繋がれたことが、不思議と嬉しくて、私の胸はどきどきと忙しなかった。

けれど、そのあとは会話が続くことはなかった。

もしかしたらたまたま偶然私の写真を見つけて、コメントが気になったから声をかけてくれただけの、ただの気まぐれなのかもしれない。

そう、今日はたまたま、だ。

明日がくれば、また私は誰とも繋がることのないSNSで"いい子"じゃない私が苦しみを吐き出すために呟くの。

私が私で、いられるように。
私の心を保っていられるように。

髪を乾かすのを忘れてスマホに夢中になっていると、いつのまにかほとんど乾いていて、私は力なくポスッとベットに横たわった。


「あお先輩ってどんな人なんだろう……」


ポツリともらした言葉は、天井で弾き返されて、小さな疑問だけが私の溝落ちにそのまま落ちてきた。