ふと、スマホを開くと夕方に私が投稿したものに"コメントが一件"来ていたのだ。


「え…どういうこと…」


私は誰もフォローしていないし、フォロワーなんて0のまま。
だからどこかと繋がるわけないし、私の投稿がべつの誰かのところへ入り込むはずもない。
なぜコメントが来ているのか分からなくて、困惑したまま、髪を乾かすのさえ忘れてしまい小さな画面の中に釘付けになった。


『空、綺麗ですね。でも、コメントの方が少し気になったので声かけてみました』


声をかけてきた相手のアイコンをタップする。


【あお先輩】

日中よりも夜行性。三度のごはんより、寝ることが何よりの至福のひととき。睡眠は人を幸せにする。


それだけしかプロフィールは載っていなくて、アイコンは自分で写真でも撮ったのだろうか、空の景色だった。何を探ろうとしてもそれ以上は無理そうだと諦めた。

フォローしている人数は九人となんとも微妙だが、全員が芸能人だった。
フォロワーは私と同じで0で、なぜだかそこで親近感が芽生えた。

最近始めたのだろうか。
でもどうやって私の投稿を見つけたのだろう。
フォローしていなければ、勝手にそこに流れ込むはずはないのに。

誰だか分からなくてそのままスルーしてしまうこともできたのに、無意識に画面に文字を打ち込んでいた私の指先。


『コメントありがとうございます。それは自分が思っていた気持ちです』


初めて誰かに文字を返す。
その緊張が計り知れないほど膨れ上がり、私はしばらく送信を押せずにいた。
部屋の時計の針が、チッチッチッと時を刻む。