「美織ちゃん、絵を褒められたのが嬉しかったみたいでお姉ちゃんとお母さんに話すんだーってわくわくしてたみたい」
先生がおとなしくなった美織ちゃんを見て、ふふふと微笑みながら言った。
「そう、だったんですね」
絵を褒められたのが嬉しくて……か。
きっとよっぽど嬉しかったんだろう。
「美織ちゃん、七海ちゃんのことすごく好きみたいだよね」
突飛なことを告げられて、え、と困惑した声を漏らすと。
「いつもお母さんと同じくらい七海ちゃんの話もしてるの。だから、聞いてる私たちも微笑ましくなっちゃって」
それを聞いて、なぜだか胸がズキッと痛んだ。
美織ちゃんは私に懐いてくれている。
けれど、私は心から打ち解けてあげられてなくて。
「美織ちゃん、お姉ちゃんが迎えに来てくれてよかったねぇ」
「うんっ! みおり、なみちゃんのことすき!」
「そっかそっかぁ」
先生と美織ちゃんの会話を聞いていても、身体の芯が冷えてしまう。
私はどうして美織ちゃんに心から打ち解けてあげられないのかな。
「じゃあ、美織ちゃんまた明日ね!」
「うんっ、せんせーばいばい!」
私も先生に軽く会釈をして、その場をあとにする。
こんな苦しい思いを、私は一体いつまでするんだろう。