「あお先輩、今までいろいろ心配かけてほんとにごめんなさい」


あの件から早くも一週間が過ぎた、お昼休み、私は屋上の階段で小さく先輩に向かって頭を下げた。


「なんで七海が謝るの」
「だって私、自分のことばかりに必死になって、先輩が悩んでたなんて全然知らなくて」
「それは七海のせいじゃないじゃん」

矢継ぎ早に返されて、

「でも…」

言葉を躊躇っていると、「俺が」横から聞こえてきた声に、私は口を閉じると。


「七海を心配させたくなくて黙ってた。それにわざわざ言う必要もないかなって思ったんだよ。だって、亡くなったって聞くと、人って無意識に苦しくなるだろ?」


まくし立てるように、言われた言葉に私は、小さく下唇を噛んだ。

でもさ、ふいにそう告げると、私を見てわずかに口元を緩めたあと、


「七海の話聞いてたら、俺も聞いてほしいなって思ったんだよね。どうしてそう思ったのかよく分からないけど」

言葉を短く切ったあと、軽く息を吸ってから、

「あの一瞬、七海が妹と重なって見えたのかも」

言葉を続けた先輩。


あの一瞬?

私はわけが分からなくて困惑していると、


「だからもし妹のことがなければ、SNSをすることだってなかっただろうし、七海に話しかけるなんてことありえなかったと思う」
「え、あ…」
「そう考えると、もしかしたら妹が、俺と七海を繋げてくれたのかもね」


突然落とされた言葉に困惑して、え、と声をもらす。

すると、笑った先輩は。


「ただの偶然なんてほんとにあると思う?」

再度取り出したわけのわからない言葉に、首を傾げた私。