早く部屋に戻りたい、なんて思いながら少しそわそわしていると、「なかなおり!」美織ちゃんの声が聞こえて、二人して視線を落とすと、
「パパも、なみちゃんもなかなおり!」
言いながら、私の手とお父さんの手を掴んで、握手をさせる。
さすがの私もそれにフッと吹き出してしまう。
「そうだな」言いながら美織ちゃんに笑ったお父さんは、
「七海、父さんと仲直りしてくれるか」
「……いい、けど」
少しそっぽを向いて返事をすると、私の手を軽く握り返した。
「ほんとに今まですまなかったな」
私も。と、言葉が出かかったけれど、それを飲み込んで、
「……うん」
やっぱりまだ素直になれなかった。
けれど、お父さんとの誤解は解けて、美織ちゃんとも、早苗さんとも。
少しだけ関係を修復できたような気がした。