「何があったのか聞いても何も答えなくて……」
振り絞るような声をもらすと、わずかに肩が震えているように見えた。
おもむろに私は、手を添えようとした。
けれど、
「妹が亡くなったあと、スマホを見たんだ」
「そしたら」聞こえた声に、触れる寸前でピタリと手が止まり、私は咄嗟に手を引っ込める。
「妹がSNSで投稿したものに心ないコメントがきてたんだ」
「え……」
「うざいとか死ねとか。それ以外にも卑劣な言葉は並んでて。相手は顔が見えないからって安心して簡単にそんなことを打ってるのかもしれないけど」
耳を疑うような言葉が次々と流れてきて、私は耐えられずに口を覆った。
「どうしてそんな心ないコメントが来るようになったのか、そこまでは分からなかったけど」
軽く言葉を切って、両手をぎゅっと握りしめたあと、
「それなのに相手はそんなことなど知らずに今も生きている。指先一つで打ち込むだけだから罪悪感を感じることなく、今もどこかで同じことを繰り返してる」
俯いて、わずかに肩を震わせた。
そして。
「自分の身勝手な言葉が誰かの命を奪っている。それに気づかずに平気な顔して過ごしてる。それが、とてつもなく憎い。憎くてたまらない……」
どんな顔をして言葉を言っているのか分からなかったけれど、多分先輩は──。
SNSはとても便利だ。アカウントを作れば誰だって簡単に利用できる。
そしてどこへいても誰とでも繋がれる。
共通の話題を通じて仲良くなったり、何かを発信したりする点ではとても利便性がある。
けれど、その分デメリットも多くて。
顔が見えない分、人は強気になってしまうのか、相手を平気で傷つけるような言葉を打ち込む。
指先一つで、簡単に人を傷つけられて、死に追いやることだって可能で。
自分の言葉が正しい。自分だけが正しいんだと、傲慢化して、否定的な言葉を返されたらそれに反論する。