駅の方へ向かった先輩。
私は財布を持ってきていないことを思い出し先輩に告げると、私の分の切符を買った先輩。
それを手渡されると、受け取ってホームへ向かった。
すでに到着していた下りの電車へと乗り込んだ。

普段電車に乗ることがない私は、これがどこへ向かっているのか分からなくて、

「あのどこ行くんですか?」

尋ねるけれど、

「さあ、どこかな」

笑ってはぐらかされる。


それから電車に揺られること三〇分。
窓から見える景色は、がらりと代わり、緑豊かで青い海が広がって見えた。
海が反射して、ピカピカ見えた。

ホームへと滑り込んだ電車は、ゆっくりと止まり、プシューと音を立ててドアが開いた。

私が迷子にならないように先輩は手を引いて、私は引かれるままあとをついて行った。


駅を抜けて、外へ出ると、パッと手を離された。
そこには見慣れない景色が広がって私は、あたりを見渡した。


「七海、迷子になるよ」


少し先で立ち止まった先輩が振り向いて、私に声をかける。
私は、駆け足をして先輩の隣へつくと、先輩はまたゆっくりと歩いた。


大きなビルや騒がしい音楽は何一つなくて、その代わり自然豊かな景色があたり一面広がった。
右を向けば、青い海が広がっていて、左には民家がたくさんあって時折おしゃれなお店もあった。

先輩は、変わらず少し前を歩いて私はそれを追いかけた。

迷子にならないように。