◆
薄れていく意識の中で、その人の自分に対する、憎しみのこもった瞳と、そこから零れる涙に気付いた。
自分はずっと、この人の苦しみに気付くことができなかった。自分に直接向けてくるまで、まったくわからなかった。
一体いつから、どれだけ傷ついていたのだろう。
しかし自分が消えることでこの人の傷を癒すことができるのなら。この人を救うことができるのなら。喜んで死を受け入れよう。
だけど、どうしてもこの人に伝えたいことがあった。
最後の力を振り絞り、きつく絞められた喉から音を出す。
「ごめん……」
これでこの人を解放することができたのかなんてわからない。これは、ただの自己満足にすぎないから。
でも、やっとこの人は幸せになれるはずだ。
幸せに、なってほしい……
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薄れていく意識の中で、その人の自分に対する、憎しみのこもった瞳と、そこから零れる涙に気付いた。
自分はずっと、この人の苦しみに気付くことができなかった。自分に直接向けてくるまで、まったくわからなかった。
一体いつから、どれだけ傷ついていたのだろう。
しかし自分が消えることでこの人の傷を癒すことができるのなら。この人を救うことができるのなら。喜んで死を受け入れよう。
だけど、どうしてもこの人に伝えたいことがあった。
最後の力を振り絞り、きつく絞められた喉から音を出す。
「ごめん……」
これでこの人を解放することができたのかなんてわからない。これは、ただの自己満足にすぎないから。
でも、やっとこの人は幸せになれるはずだ。
幸せに、なってほしい……
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