《八月十一日》
優也が実家に彼女を連れてきた。
仕事関係で知り合った人らしくて、小柄で可愛い人だった。
優也が付き合っている人を実家に連れてきたのは、彼女が初めてだ。
お父さんとお母さんはものすごい歓迎ムード。あたしもふたりに合わせたけど、正直かなり複雑だった。
両親に紹介するってことは、適当に付き合ってるわけじゃないんだろう。彼女との結婚も考えているのかもしれない。
優也が結婚報告をしてきたら、あたしは笑顔でおめでとうを言えるだろうか。
彼女には悪いと思うけど、あたしは去年の冬に優也にもらったブレスレットがはずせそうにない。