《五月三日》
お父さんとお母さんと三人で東京に一泊旅行に行った。
優也は一日バイトの休みをとって、あたし達の東京観光に付き合ってくれた。
優也と会うのはお正月ぶり。髪型とか服装の雰囲気が、またちょっと変わった気がする。
あたし達の前に立って、電車の乗り換えや道を案内してくれる優也は慣れた様子でかっこよくて頼もしかったけど……。優也があたしなんかの手の届かないところへ行ってしまった気がして。ちょっと遠く感じた。
次に優也が実家に帰ってくるのはいつだろう。家族のままでいいって思ったのに、一年の間で会える回数はどんどん減っていく。
家族としての距離すら遠くなっていく気がして淋しい。すごく、淋しい……。