そして、夕飯の買い出しについていき、重い荷物も率先して運んだ。


「あやさまは本当に気がつきますわね。女中たちも最初は戸惑っていたんですけど、あやさまの明るさと働きぶりに、すっかり感心していますよ」


 私の横で芋の皮をむくまつは笑顔だった。
 まだ彼女のようにうまく包丁を使えない私は、いんげんの筋を取りながらおしゃべりを続ける。

 最初こそ遠巻きに見ていた女中たちも、私から積極的に話しかけたり、どんな仕事でも引き受けたりしているうちに、すっかり打ち解けてきた。


「まつ。あやさまはやめてって言ったでしょう? あやでいいの」
「さすがにそれは……」


 雇用主の娘と女中という関係が長かったので、戸惑うのは当たり前。
 だから私も、時折釘をさすだけにしている。

 けれども、同じ仕事をしているのに〝さま〟をつけて呼ばれるのは、なんとなくきまりが悪い。