「ねえ、まだ?」

鍋でお米を炊くには結構時間がかかる。

「あと3分位だから待ってて」

「は〜い」

椅子に座り、アルビナさんに貰ったここの街の地図を見ながら観光を考えているルシア。

「ねえ、近くに教会あるんだって! 今度行ってみましょうよ?」

「教会? 別にいいけど、もう炊あがるよ?」

「ほんとに!」

鍋の蓋を開けると、お米の甘い香りが広がる。
見た目は日本のとそっくり。

1口食べてみると、日本のご飯そのままだった。

嬉しすぎて叫びそうになったが、変人扱いされるのでやめておく。

おにぎりの具材は何にしようか?

個人的には梅干しがいいが勿論、この街には存在しない。

塩おにぎりだと寂しいしな……?

「ルシア、この世界にマヨネーズってあると思う?」

「マヨネーズ? あるけど?」

「ほんと!?出来れば欲しいな……なんて」

「いいよ?」

そういうとルシアはいつも肩にさげている鞄からマヨネーズを取りだした。

「どどどどうなってるのその鞄?」

「見ての通り、普通の鞄よ?」

「普通の鞄のわけないじゃん!マヨネーズは普通鞄から出てこないよ!」

「これは私の鞄なんだし、マヨネーズが出てきたって、もふもふちゃんが出てきたってなんでもいいでしょ!」

ルシアの持っている鞄はきっと異空間に繋がっていて、沢山のものが収納可能な不思議な鞄なんだと思う。

「ま、まさかツナ缶なんてものはさすがに入ってないよね……?」

「ちょっと待っててね」

待つこと2分。

「あったあった! どうぞ!」

あの鞄はなんなんだ? ツナ缶だって、日本でよく売っているメーカーの。

まぁいいや。
ツナとマヨネーズを合えて、おにぎりを作る。

海苔はこの街にあるのでそれを使う。

「ツナマヨおにぎりの完成!」

「ツナマヨ? 予想ができない食べ物ね」

「文句を言わないで食べてみてよ!」

「いただきます!」

1口食べると、ルシアの目はいつもより輝きをましていた。

「いただきます」

僕も食べると、懐かしい味で涙が出そう。
実際には涙は出なかったけれども。

ルシアの鞄がある限り、ホームシックは起こらないはず。

僕もあの鞄が欲しい。

「どう? 美味しい?」

「すごく美味しい! ライスってこんなに美味しいなんて思わなかったよ」

「それは良かった!」

さて、夜ご飯は何を作ろうか。

和食と言ったらお寿司とかだけれど、生物はやめておこう。