「えー、明日から夏休みが始まるわけですが、気を緩めすぎないよう気をつけて……休みという期間は自分を見つめ直す大切な期間であり……」
校長先生の緩やかな話し声が、子守歌に聞こえる。
「こら、気緩みすぎ」
後ろから、ぺしんと頭を叩かれた。
「こんなに暑い中、立って寝れるなんて、やっぱりそれ特技かもね」
振り向くと、美咲の呆れ顔。
えへへ、と笑うと、「褒めてないから」といつものように釘を刺された。
昨日はあれこれ考えていて夜遅くまで寝れなかったから、朝から猛烈な眠気と戦う羽目になった。
しかし寝ている場合ではない。どうしても、あの人に訊かなければいけないことがあるんだ。