「あ、あのね」
私は口を開く。言葉じゃなく心臓が飛び出しそうなくらいドクドクいってる。
言わなきゃ。約束したから。
もう二度と、約束は破らないって決めたから。
「私、引っ越しすることになったの」
「え」
陽太が目を見開く。
「どこに?」
「アメリカ」
もっと、大きくなる。
「は!?……う、嘘だろ」
「ほんとなの。お父さんの仕事で……私も信じられなかった、っていうかいまだに全然信じられないけど、夏休みの間に、向こうに行くことになって」
あのね、と私は声を詰まらせながら、続けた。
「ずっと、陽太に言いたかったことがあるの」
私は顔をあげて、まっすぐに陽太を見た。
「うん」
陽太がうなずく。
「卒業式の日、ひどいこと言って、ごめんなさい」
『陽太といると辛い。ロクなことがない。もう話したくない!』
そう叫んだ自分の声が、耳元で響く。
「あれ、嘘だから。全部、反対だったんだ。陽太といると、いつも楽しかった。いいことばっかりだった。ずっと一緒にいたかった。もっともっと、たくさん話したかった……」
言いながら、涙があふれた。
もっと早く言えばよかった。
決心するのに、1年半もかかってしまった。
遅すぎるかもしれない、けれどーー
「嫌なことがあって、でもうまく言えなくて、八つ当たりだった。そんなことしか言えない自分が嫌で……」
「何が、あったんだ?」
陽太は真剣な眼差しで訊いた。
1年半前、卒業式の前日のことも話した。
ずっと言えなかった。言えばきっと、陽太は私のために怒ってくれるとわかっていた。
でもーー
『いつまで続けるつもり?』
『幼なじみだからっていつまでもつきまとわれて、陽太がかわいそうだよ』
このままじゃダメだと、思ったから。
迷惑をかけたくなかった。
私は陽太に釣り合わない。一緒にいないほうがいいんだと、思っていたから。
でもーー
『釣り合ってないなんて誰が決めるの?』
美咲が、
『ふたりをを見てるのが好きだったんだ』
守屋くんが、
『この世界に釣り合わない人たちなんていないよ』
聖がーー
みんなが、そう教えてくれたから。
釣り合わないと決めつけていたのは、ほかの誰よりも、私だった。
釣り合うように努力もしないで、逃げてばかりいた。
周りの視線なんかじゃない。私にとって本当に大切なのは、ずっと一緒にいた陽太だって、
やっと気づいたんだ。
私は口を開く。言葉じゃなく心臓が飛び出しそうなくらいドクドクいってる。
言わなきゃ。約束したから。
もう二度と、約束は破らないって決めたから。
「私、引っ越しすることになったの」
「え」
陽太が目を見開く。
「どこに?」
「アメリカ」
もっと、大きくなる。
「は!?……う、嘘だろ」
「ほんとなの。お父さんの仕事で……私も信じられなかった、っていうかいまだに全然信じられないけど、夏休みの間に、向こうに行くことになって」
あのね、と私は声を詰まらせながら、続けた。
「ずっと、陽太に言いたかったことがあるの」
私は顔をあげて、まっすぐに陽太を見た。
「うん」
陽太がうなずく。
「卒業式の日、ひどいこと言って、ごめんなさい」
『陽太といると辛い。ロクなことがない。もう話したくない!』
そう叫んだ自分の声が、耳元で響く。
「あれ、嘘だから。全部、反対だったんだ。陽太といると、いつも楽しかった。いいことばっかりだった。ずっと一緒にいたかった。もっともっと、たくさん話したかった……」
言いながら、涙があふれた。
もっと早く言えばよかった。
決心するのに、1年半もかかってしまった。
遅すぎるかもしれない、けれどーー
「嫌なことがあって、でもうまく言えなくて、八つ当たりだった。そんなことしか言えない自分が嫌で……」
「何が、あったんだ?」
陽太は真剣な眼差しで訊いた。
1年半前、卒業式の前日のことも話した。
ずっと言えなかった。言えばきっと、陽太は私のために怒ってくれるとわかっていた。
でもーー
『いつまで続けるつもり?』
『幼なじみだからっていつまでもつきまとわれて、陽太がかわいそうだよ』
このままじゃダメだと、思ったから。
迷惑をかけたくなかった。
私は陽太に釣り合わない。一緒にいないほうがいいんだと、思っていたから。
でもーー
『釣り合ってないなんて誰が決めるの?』
美咲が、
『ふたりをを見てるのが好きだったんだ』
守屋くんが、
『この世界に釣り合わない人たちなんていないよ』
聖がーー
みんなが、そう教えてくれたから。
釣り合わないと決めつけていたのは、ほかの誰よりも、私だった。
釣り合うように努力もしないで、逃げてばかりいた。
周りの視線なんかじゃない。私にとって本当に大切なのは、ずっと一緒にいた陽太だって、
やっと気づいたんだ。