◯
翌朝。
「赤坂先生のお祝いのなんだけど、演奏をプレゼントするって、どうかな?」
そう提案してみると、
「演奏?」
と美咲は目を瞬かせた。
「うん、吹奏楽部だし、なにかお祝いの曲を……」
「それいい!」
美咲は手を叩いて言う。
「演奏かあ。思いつかなかった。今日の部活で提案してみるよ。ありがとう」
「うん」
私の案じゃないんだけど……でも、赤坂先生を知らない聖の声が繋がって、たくさんの音になって届く。なんだかすごくいい気がする。
でも、あの日見た先生の横顔が、どうしても頭から離れない。
『思い入れのある曲なの』
ピアノを弾きながら泣いていた赤坂先生。
大切な人への忘れられない思い。届かなかった後悔。そんなやりきれない思いが、あの歌には込められている。
ーーねえ、先生。
どうしてあんなに苦しそうな顔をしていたんですか?
翌朝。
「赤坂先生のお祝いのなんだけど、演奏をプレゼントするって、どうかな?」
そう提案してみると、
「演奏?」
と美咲は目を瞬かせた。
「うん、吹奏楽部だし、なにかお祝いの曲を……」
「それいい!」
美咲は手を叩いて言う。
「演奏かあ。思いつかなかった。今日の部活で提案してみるよ。ありがとう」
「うん」
私の案じゃないんだけど……でも、赤坂先生を知らない聖の声が繋がって、たくさんの音になって届く。なんだかすごくいい気がする。
でも、あの日見た先生の横顔が、どうしても頭から離れない。
『思い入れのある曲なの』
ピアノを弾きながら泣いていた赤坂先生。
大切な人への忘れられない思い。届かなかった後悔。そんなやりきれない思いが、あの歌には込められている。
ーーねえ、先生。
どうしてあんなに苦しそうな顔をしていたんですか?